3Dプリンターエアロ 3D printer aero


 以前、一度は断念した3Dプリンターでのエアロ製作ですが、今回再挑戦する事にしました。
 知人からエアロの相談を受けたことが事の発端です。
 
 ショップブランドのオーバーフェンダーを付けたが、途中で切れていて先端部分がないので
 そこを作ってもらいたい。とのこと。
 早速現物を確認すると、なるほど確かに途中で切れている・・・
 レース用のエアロではたまに見かけるスタイルではあります。
 
 今回は物が小さいのと、格段に性能アップした3Dプリンターで試してみようと思い、
 この企画をスタートさせました。
 


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かなりインパクト有りでキマっています。
 この車は、知人の『ノート e-POWER NISMO』です。
 「ナニコレケッコウカッコイイ」が所見でした。
 日産のこのVグリルはかっこいいですよね。
 ショップブランドのオーバーフェンダーが取り付けて
 ありますが、前側の途中で終わっています。
 オーナーから「なんか物足りない」と相談を受けた事で
 今回の企画がスタートしました。


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通常製作なら簡単・・・なのですが。
 この企画で一番難しいと思うのがコレです。
 ボディの曲面を数値化することです。
 通常のエアロ製作法であれば、そんな事は必要なく、
 画像のようにFRPを貼り込んで形状を取れば完了です。
 そのFRPにスタイロフォームなりクレイなり盛り付けて
 成形するという手順になります。
 ですが、3Dモデルを作る場合は曲面の数値が必要です。
 その数値を取る為にFRPを貼っています・・・


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我ながら良くできた冶具だと思う。
 パーソナルユースの3Dスキャナは使い物になりません。
 実際に使った事があるのと、得られた点郡データの編集に
 莫大な時間が掛かるからです。
 いろいろ考えて画像のような計測冶具を作製しました。
 ホームセンターで売っている引き出し用レールと、
 柱っぽい何か・・・にマイクロメータを取り付けました。
 型にマス目を引いて交点を計測しました。


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中々良い感じです。
 計測した数値に従ってボディ側の面を作図して、
 オモテ側のデザインを造り込みました。
 CADは、Autodesk社のFUSION360です。
 計測時と同じ幅のマス目の作図平面を作り、
 計測結果の点を置いていき、サーフェイスを貼りました。
 これでボディと同じ面が出来たハズです。
 表側のデザインは、オーナー希望と私のスパイスを
 取り入れて設計しました。


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非常に時間が掛かりました。
 ダヴィンチの造形サイズは175mm x 175mmなので、
 2分割で出力しました。
 樹脂は、収縮率の低いPLAです。
 上側は約9時間、下側は17時間です。
 最初はボディ面だけ抜粋して出力すれば良かった・・・


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形状はいいですね。
 現車に仮付けしました。
 全体のイメージが見たかったのと、
 ボディとの隙間を確認したかったのです。
 しっかりと計測したのに隙間がありました。
 下側の段差部分を見逃して設計してしまった為です。

 最初に型取りしたFRP裏側にFRPを貼り、
 バンパーを複製しました。
 これで、わざわざオーナーさんにウチまで来てもらわ
 なくても現車合わせができるようになります。

 このあとは、隙間を埋める為に3Dモデルを修正しました。
 


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  ▲2020.05.16

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PLAの接着。
 分割出力したエアロパーツを接着します。
 PLAはどういう接着剤が良いのか調べた結果、
 画像のアクリサンデー がBESTとのことでした。
 この接着剤は流し込みタイプなので、エアロを
 マスキングテープで組付けてあります。
 この状態で、接合部に流し込んでいきます。
 毛細管現象で気持ちよく流れ込んでいきます。
 流し込んで30分後に確認すると、接着できていました。
 裏側からも接着して丸1日乾燥させました。
 取説にも24時間後に加工可能とあったので。


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いつもお世話になります。
 完全接着できたので、ヤスリで軽く面出しをしました。
 画像は、私のサイトではよく使用している
 発泡体用ポリエステル樹脂です。
 エアロのベース材のスタイロフォームを
 溶かさない樹脂です。
 テストはしていませんが、PLAもそのままだと普通の
 ポリエステル樹脂で溶けてしまうと思われるので、
 これでコートします。
 (ていうかテストしてみよう・・・)


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綺麗な面になりました。
 発泡体用ポリエステル樹脂を2回塗り込んで、
 320番で水研ぎした状態です。
 PLA自体の凹凸はほとんどこれで無くなりましたが、
 まだもう少しパテ入れしたい箇所があるので、
 このあともう一度パテ削りを行いました。
 この日は合計で5時間ほど研磨作業をしていたので、
 その後は腕が上がらなくなりました。。

 次回更新でお見せしますが、最終的には2000番まで
 研き込んでマスター型を完成させています。


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  ▲2020.06.06

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疲れた。。
 2000番まで研き込んだマスター型です。
 過去にここまで研き込んだマスター型はありません。
 今回は、3DプリンターのPLAが芯になっているので、
 必ず抜けてもらう為にここまで研ぎました。
 初めて使う材料なので、できる事は
 最大限やっておきます。

 手研ぎだったので、まあ疲れましたよ。。
 その日は腕が上がらなかったです。。


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黒はなんかいい。
 分割ベースの取り付け⇒面取りワックスで隙間埋め⇒
 型勘合用ダボ取り付け⇒離型ワックス処理 まで
 行って、型用ゲルコート塗布です。
 ゲルコートはいつものようにサボらず、1回目が
 完全に乾燥してから2回目を塗布しました。
 型用ゲルコートは日持ちしないので、必要なときに
 必要分量を発注しています。
 日持ちする3液タイプも使った事がありますが、
 過去何度かはあまり良い印象がありません・・・


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ちょっと樹脂リッチです。
 型製作はとにかくエア混入との戦いです。
 過去の経験上、鋭角な山、3mm程度の段差、
 谷が連続して繋がる所 はエア噛みし易いです。
 タルクパテでRを付けたり段差をスロープにしたり、
 ガラスマットをほぐしてマスターに馴染むようにしたり・・・
 型製作時には、持てる技術総動員で挑んでいます。

 今回の更新は丸2日分の作業です。
 これでやっと片側の型が完成です。


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  ▲2020.06.13

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分割型は大変なんです。
 裏側の型も完成し、複製品の製作に入りました。
 こういう複雑な分割型はガラスマットの貼り込みが
 大変なので、事前にガラスマットを切り出してあります。
 ダクト部分は肉厚が4mmしかないので、
 裏型は1プライのみ張り込みました。
 型接合後に、開口部からFRP樹脂を流し込んで
 複製品上下の接着を行いました。
 なんとか接着できたようで、脱型したときに大きな
 接着不良部はありませんでした。


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ついに完成!!
 脱型後にカド部の欠けや凹部分をグリーンパテで
 補修しました。
 小さな接着不良部分にはアルミテープでダムを作り、
 FRP樹脂を入れて完全接着しました。
 複製品補修後に、全体のペーパー掛けを行いました。
 最終的に2000番まで研きこんで完成です。

 3月~5月の2ヶ月間に渡って製作してきました。
 あっという間だった気がします。


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超カッコエエ・・・
 塗装と取り付けはオーナーさんが行いました。
 LINEで送ってもらった画像です。
 いやこれかっこいいじゃないですか!
 派手過ぎず、さりげなく開いたダクトもデザインに
 マッチしています。
 ていうかこのノートニスモかっこいいなぁ・・・





 3Dプリンターで原型を作る最大のメリットは、左右対称のエアロが製作できる!ということです。
 個人趣味レベルのエアロ製作では、左右対称の物をつくるのが大変なんです。
 業者であれば大型CNCで3Dモデルに沿ってクレイを削って作ったりしているようですが、
 個人では、かたどりゲージで片側を測りながらミラーコピーを作るしか方法がありませんでした。
 3Dプリンターはそれをくつがえしてくれた画期的なアイテムだと実感しました。
 大きな物は難しいですが、やってやれない事はないレベルまで来た感じがします。
 これからのエアロ製作に活用していきたいと思います。


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  ▲2020.07.04

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