FLASHFORGE Adventurer3 3D Printer


 以前購入した3DプリンターREPRAP MENDELは、すでにヤフオクで処分しています。
 あれから5年・・・新しい3Dプリンターを購入しました。
 ラジコンの改造部品を作りたいという新たな欲が出たためです。
 
 以前より進歩している事を期待して探してみました。
 ラジコン部品なので、製作物には強度が必要なのでABS樹脂が出力できるもので探しました。
 最近は、強度の劣るPLA樹脂にカーボン繊維を織り交ぜて強度を確保したフィラメントが
 存在するようです。FRP樹脂にガラス繊維を入れて強度を出すような感覚かな?
 カーボンPLAとABSが使用できて、販売次期が新しい3Dプリンタで探していると・・・
 FLASHFORGE Adventurer3に辿り着きました。
 このプリンターを調べてみると、様々なフィラメントで出力実験をされている方のサイトがあり、
 ABSもカーボンPLAも問題なく印刷できているようでした。
 販売メーカーにも色々と質問してみましたが、快い回答ばかりでした。
 価格もこのレベルで65000円という安さです。
 ということでAdventurer3を購入しました。
 


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機能美を感じる。
 これがAdventurer3です。
 偶然、新古品がヤフオクに出品されていたので、
 正規販売価格そのままで入札したらあっけなく
 5万円で落札できてしまいました。
 期間固定Tポイントが8000円あったので、ポイントを
 使いたかったのが本音です。

 非常にしっかりとした作りで何か安心感を覚えます。
 以前のREPRAPと比べるととてもコンパクトです。


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すばらしい。
 届いた箱から出して電源つないでZ軸の校正すらせずに
 いきなり出力したテストブロックです。
 左側の白いのがその時の物です。
 エクストルーダ内に残っていた白いフィラメントから
 付属していた透明なフィラメントに変わって2色に
 なっています。
 何の調整もせずにこのレベルで出力できるとは・・・
 確実に進歩していますね。
 右側の黒いのは調整して出力したカーボンPLAです。


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ここだけ惜しい。。
 性能面では全く問題のないAdventurer3ですが、
 1つだけ惜しい点があります。
 一般的に流通しているフィラメントのリールが入らない。
 一般的なリール外径は200mmなのですが、本体に収納
 できるサイズは180mmまでです。
 100均でファイルケースとロッドを購入しました。
 今は出力したいものが山積みなので、落ち着いたら
 リールフックを設計しようかと・・・


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素晴らしいCADです。
 モデル作成の為に新しい3D-CADを勉強しました。
 INVENTORでは出力サイズが変わる問題があり、
 最新のCADを購入しようと思って探してみると、
 同じAutodeskからFUSION360というCADが
 発表されていました。しかも無料です!!
 個人や愛好家、スタートアップ企業は無料で使えます!

 使用感としてはアイコンやメニュー配置が異なるだけで
 考え方はINVENTORと同じでした。


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これは素晴らし過ぎる。
 画像はラジコンの改造部品ですが、ここまで作図するのに
 習得期間1日です。(私はコレが本業なので。。)
 ネット上にHowToサイトがたくさんあるので、
 操作に困ったら覗きながら作図しました。

 FUSION360の特筆すべきは「解析」です。
 作成したモデルに拘束条件を与える事で、そのモデルの
 強度が弱い部分はどこか?どこが破断するか?
 それらを計算してくれます。
 INVENTORや他のCADにもそういう機能はありますが、すべてオプションで高額です。
 FUSION360はこれも無料で使えます。。
 データ管理はAutodeskのクラウド上に保存するのが基本ですが、ローカルに保存することも
 可能です。私はすべてローカル保存しています。
 但し、新しいモデル作成時に別のモデルを参照呼び込みする場合は、一旦クラウドに保存する
 必要があります。
 他にも3Dプリンタと連携できる機能だったり、マテリアル設定も3Dプリンタを意識した物が
 多かったりと、新しい時代の3D-CADという感じです。
 これから3D-CADを勉強したいという方には是非お勧めします。


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印刷結果も問題ないです。
 これは1回目のテスト出力の物です。
 現物との「合い」を確認する為に出力しました。
 時間節約の為に中身が詰まっていないモナカ状態で
 出力して3時間でした。
 以前のREPRAPよりは断然早いです。


 たった5年の違いで3Dプリンターの進化を目の当たりにして驚いています。
 最近毎日何かを出力しているので電気代が・・・w
 ただ、使っているうちに「ゴッゴッ」と異音がするようになりました。
 フィラメントを送るギアあたりがすべってる?感じですが、今のところ印刷物に不具合は起きてない
 ので放置しています。そのうちメーカーに相談してみようとは思っていますが。
 これはもう1台くらい購入したいですね。
 
 
 以上、FLASHFORGE Adventurer3 3Dプリンター レポートでした。


▲2019.03.17


 ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene アクリロニトリル ブタジエン スチレン)
 に敗北しました。。。
 
 カーボンPLAで問題なく出力できていたので、ABSも大丈夫だろうと思って出力してみたら、
 思いっきり反りました。。
 最近は反りにくい樹脂になっているんじゃないか?という勝手な願望が見事に打ち砕かれました。
 以前のMENDELと全く同じ問題に直面してしまいました。
 
 また、Adventurer3のベッドの水平が出ていないという問題も発覚しました。
 ベッド中央では綺麗に出力されていますが、左側ではボトボトボトっと落ちる感じで、
 右側は厚みのない薄いラインで出力されていました。
 プラットフォームを外して、アルミヒートベッドの高さをスキマゲージで計測してみました。
 ベッド中央を1mm基準に設定して、9箇所で計測しました。
 結果として、左奥が1.35mm、右前が0.61mmで、その差は0.74mm!!
 Adventurer3のノズルとベッドのスキマ校正は、ベッド中央で設定するのみで、
 ベッドに高さ調整の機能はありません。これだけの差があるのに調整できないんです。。
 
 17日の更新以降、色々と悩んで勉強させてもらった2週間でした・・・
 
  ...
見事な反り返りっぷり。
バナナじゃないよシャフトだよ。
 朝起きて、完走できていたことに喜んだのですが、
 ぬか喜びでした。。
 ちなみにインフィル(充填率)100%の無垢です。
 このあとインフィル15%まで落として出力したのですが
 半分あたりでベリっと音がしてラフトから剥がれました。


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ベッドの調整できないと辛い。。
 水平問題の解決策。ベッド右前に注目。
 スキマゲージをベッドとフレームの間に挟みました。
 プラグ用スキマゲージは厚みが分かりやすく印字されて
 いるので、全面で同じ隙間になるよう何枚も入れ替えて
 最終的に1mmに落ち着きました。
 ただ、スキマゲージでは出力範囲が狭くなるので、
 後々良い方法を考えます。
 そして、プラットフォームはベッドの熱を遮断している
 気がしたので使わない方針に変更。
 その代わりに評判の良い下記を使用することにしました。
 3M 3Dプリンタープラットフォームシート
 これはお世辞抜きで良いです!超密着します!!
 出力物を剥がす時は、薄刃ニッパーでスキマを作ってスクレーパーを差し込んでいます。


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完全装備!
 「庫内を70度に保てば反らない」
 とGoogle先生が教えてくれました。
 そしてこれが反り問題の完全な対策です。
 画像の物はペット用のヒーターです。
 その類では一番強力だと思われる下記を2枚使用。
 みどり商会 暖突(だんとつ) Mサイズ
 大きすぎて側板を外さないと入らなかった。。
 前面フタと背面ケースに穴を明けてネジ留めしています。
 側板には電源コードを通す穴も明けています。


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反り問題解決!!
 その効果は画像で判断してください。
 インフィル100%、150mmX50mmの出力物で、
 ラフト無しで出力しました。
 全く反っていません。
 2つ上の画像も同じ対策下で出力していますが
 反っていませんでした。

 これを2つ点けて運転させると、庫内温度は最高65度
 まで上がります。
 ケースファン、ノズルファン共に停止させて出力
 しています。
 上面にはブランケットを置いて熱の発散を抑制しています。
 上面後部にある排気ダクトを開放しておくと、55度程度に下がります。
 何度か出力していて感じたのは、50度以上であれば反らないということです。
 寝ている時は火災でも起きたら怖いので、ダクト開放しています。
 我ながら良くできた対策だと感じていますが、一つ欠点が・・・
 この暖突は厚みが20mmあるので出力範囲に制限ができてしまいます。。
 スライサーで若干避ける必要があります。
 ですが、ABSが全く反らずに出力できたということで、これは完全勝利ではないでしょうか?



 ABSの出力方法をまとめた YouTube 動画です。



...
楽しい工作の時間
 インフィル100%にこだわるのは機械設計屋だからですw
 画像はインフィル100%で出力した物に加工して組み立て
 ている所です。
 ラフトとの剥がれが悪くヤスリ掛けしました。
 (恐らく反り対策による弊害です。
  反らない=硬化が遅い=ラフトとも超溶着)
 データにはタップも作ってあるのですが、サポート材が
 あるので切り直します。
 ベアリングは内輪と外輪を各々固定しなければ
 その能力を発揮できません。
 それを全う出来る最小限のパーツ構成です。


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実用的な出力物。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 以前も反り問題はあったのですが、当時はこんなもんと諦めていましたが、
 今回は何とか克服してやろうという気持ちが強かったですね。
 というより、もうABSに悩まされたくない!というのが本音です。
 ABSであればヤスリ掛けやタップ加工もできるので、私のような人間にとってはBESTな素材です。
 今はラジコンパーツ以前に「まともに印刷できる状態にしなければ」という責任感が沸いています。
 ベッドの高さ調整機構・・・考えるかなぁ・・・
 
 
 以上、FLASHFORGE Adventurer3 ABS反り対策 レポートでした。


▲2019.03.31

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苦肉の策。
 ベッド高さ調整機構の追加。
 反り問題はほぼ克服できたので、ベッドの高さ調整機構
 の追加改造です。
 当初はアルミベッドに皿穴を明けて皿ボルトを通して、
 ベッド下にナット板を入れて引っ張り込む構造で
 考えていたのですが、アルミベッド裏側に熱線がビッシリ
 と隙間無く張られているという予想外のイイ仕事っぷり
 だったので断念。
 仕方ないので外側で調整する機構を考えました。
 L字金具にタップを切ってベッドに固定して、
 押え金具をボルトで押し込む構造です。
 


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恐らく一番進化したAdventurer3です。
 高く出来ない、横にも張り出せない。
 という制限だらけの設計です。
 図面無しで製作しましたが、機能する物が出来たので
 OKとします。
 ダイヤルゲージで測定したいので購入しました。
 超強力磁石をヘッドに両面テープで貼り付けて、
 ダイヤルゲージを固定しました。
 (最終的には固定冶具を作りたい・・・)
 この調整機構は、下げる事はできても上げる事はできない
 ので、一番低いポイントを基準に合わせます。

 うちの個体は左奥が一番低いので、そこを0点にセットして、各々のポイントで計測して高さを
 調整していきました。
 右前を最大に下げて、左前、右奥のたわみ分を補正していく感じで調整しました。
 一通り調整後にダイヤルゲージを四隅に走らせて確認しましたが、100分台の誤差まで合わせ込め
 た時点で調整終了です。
 この後校正作業を行って完全に終了です。校正にはプラグゲージの0.2mmを使っています。

 
 とりあえず出来る事はやったという感じですが、出力物をベッドから剥がす時に高さが狂うので、
 毎回調整が必要です。でもそれは失敗しない為に普通に行うべき事だと思っています。
 この記事を書いている現在も、隣で改良版フィラメントホルダーを出力してくれています。
 もうここまでやれば失敗はほぼゼロです。
 (スライサーの設定とか色々あるけどそれは他サイトに委ねます)
 これでやっと出力したい物を心置きなく出力できそうです!!
 
 以上、FLASHFORGE Adventurer3 ベッド調整機構追加 レポートでした。


▲2019.04.06


 少し前に画像で紹介したAdventurer3用の社外フィラメントホルダーを販売いたしました。
 3Dプリント出力サービスでは最古参の大手SHAPE WAYSと、
 日本国内では最大手のDMM.makeです。
 
 ・SHAPE WAYS
 ・DMM.make
 
 ↓は組み立てビデオです。

 ショップを見てもらうとわかると思いますが、価格が高いのです。
 モデルデータをアップロードすると、まずそのモデルの製作費用が確定し、
 そこに自分の利益を乗せるシステムになっています。
 8つの部品を一つにまとめられないという不便さもありますが、すべて売れたとしても
 私の利益はすずめの涙ほどです・・・
 
 試しに両社から自分の販売している部品を購入してみました。
 SHAPE WAYSはPayPalアカウントが必要です。
 Standard Shippingで9日で到着しました。
 DMM.makeは国内という事もあり、発注から4日で到着しました。
 
 両社ともMJFという新しい出力方式で、安くて早く出来ました。
 出来上がった品物を見ると、ザラザラしてはいますが、問題ないレベルで、
 実際の使用に耐えうる強度を持っていました。
 実物を見て心境の変化がありました。
 自宅の3Dプリンターで何十時間も掛けて失敗するリスクも背負いながら出力するより、
 3Dプリント業者に依頼した方が結果的に早く確実な物が出来る。

 例えば販売している「シャフト」ですが、これはMJFで2500円です。
 これの充填率100%の物をABSで自宅で出力すると11時間掛かりますが、失敗も有り得るので
 倍の時間を見越しています。この「失敗」が時間的にも材料的にも痛いロスとなります。
 精神的にも「もういいや」というマイナス効果もあります。。
 そういう経験を積んだ方ならDMMの2500円が高いとは思わなくなると思います。
 これからは、時間があるときには3Dプリントサービスを積極的に使っていこうと思っています。
 
 のちに記事にしますが、私のAdventurer3は今現在壊れています・・・
 
  ▲2019.04.21


 新古品で購入して200時間くらい使用したところで、印刷できなくなってしまいました。
 「プリントトラブル発生。エクストルーダーを確認してください。」というエラーが表示され、
 2割程度の出力で停止していました。初めてのエラーで意味不明でした。
 ノズルの清掃を行い、テストとして20BLOCKを出力させてみました。
 10分程度の出力物なので、プリンターに張り付いて見ていました・・・
 ボトム面3層目の途中で、ノズルがガクッと落ちました!その後、上記エラーが表示されて停止。
 ノズルキャッチャーがフィラメントの押し出し力に負けたという事だと思いますが、それで
 ノズルがズレるなんて事はありえないと思い、入念にエクストルーダー周りをチェックしました。
 原因が判明しました。
 
  ...
完全な設計不良。
エクストルーダー下面に付いているプレートです。
 左が純正で、右はAPPLE TREEに送ってもらった
 部品です。純正は完全に熱変形してしまっています。
 このプレートがノズルキャッチャーの下方ズレを抑えて
 いるのですが、それが歪んでしまった事により
 抑制できず、結果、ノズルが落ちてまう。
 という不具合です。
 これはもうメーカーの設計不良としか思えません。
 APPLE TREEと折衝してターボファンダクトを送って
 もらいました。


...

完全な素材不良。
 このプレートは保守部品として用意されていないので、
 APPLE TREEで出力してもらったのですが、
 まさかのPLA材。。
 設定で送風を終始止めているのですが、今回はONに
 してABS出力テストしてみました。
 ノズル温度225℃に達した時点で溶けました。。
 もうね、ヴァカかと。。
 ABS出力に送風は害しかないので止めているのですが、
 設定上停止ができるので、間違った使い方ではないです。
 熱変形ってのは完全な設計不良、材質選定不良です。


...

すばらしい・・・
 代理店であるAPPLE TREEにこれ以上文句を言っても
 埒が明かないので、ターボダクトをDMM.make
 発注しました。
 素材はMJF黒のPA12GBです。1933円でした。
 GW前だった事もあり、今回は納期5日でした。
 かなり丈夫に出来ていて、エクストルーダーにも
 問題なくセットできました。
 ですが、樹脂である事に変わりはないので、
 恐らく熱変形すると予想して型を取る事にしました。


...

安心のために・・・
 複製は熱に強いと思われるFRPを想定していたので、
 石膏型にしました。
 プラモで複製はやっているので資材は所有しています。
 粘土に埋めて石膏を流し込んで完成です。
 #200のガラスマットであれば、ツメ部分も複製できる
 と踏んでいます。


...

完走できてしまったw
 とりあえずダメ元でDMM.makeのプレートを取付けて
 出力してみたのですが、これが全く熱変形しない!!
 想定外でした。送風停止状態ですよ・・・
 画像は知人に依頼されていた物で、キャンピングカーの
 エアコンスイッチのフタです。120x100x30の箱状の
 物ですが、ABS充填率100%で8時間の品です。
 2時間ほどチェックして寝たのですが、翌朝確認すると
 完走できていました。しかもプレートの熱変形は
 ありませんでした。


 私のサイトを見てくれた方は、急いでターボファンダクトDMM.makeで発注してください!
 このプレートは保守部品も無いので、私のように熱変形してしまったら出力できなくなります。
 この件は完全に設計不良なので、FLASH FOGE本体と折衝したいですね。
 
 しかしまあ、次から次へと問題が出てくるのが3Dプリンターの良き点悪き点ですね。
 今回購入したのは、もうそんな面倒無く、出力したい物を出力したい時に出力する。
 というのが理想だったんですが・・・相変わらず完全にどハマってますね。。
 
 以上、FLASHFORGE Adventurer3 不具合レポートでした。


▲2019.05.04

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