これが複製用の雌型です。
上下2分割型になっています。
MYZ製と違う所は、リップ先端形状の変更、
サイドカナード角度の変更です。

リップスポイラー Lip spoiler

今回複製をとる前から決めていた事があります。
R32 GT-Rのリップのように艶消しブラックにする。
ということです。
ガンとコンプレッサーは所有しているのですが、
フラットブラックの塗料がすぐには入手できなかった
為、やむなく缶スプレーで塗装することにしました。

画像は1プライ(1枚)貼り付けた所です。
この1層目が非常に大切です。
ここで空気が入ってしまうと、後から積層しても
ずっと空気が抜けません。脱法ローラーで空気を
抜きながら積層していきます。

塗装の基本。
カドから塗ること。
角は平面と違い、張力が発生するので塗料が乗り
にくいので先に塗装します。

3回目の薄付けパテの研磨が終わった所です。
最終的には1000番の耐水ペーパーを使用しました。

研磨作業には、ヤスリの当て板は必須です。
当て板無しで手だけで研磨すると、ボディやFRPに
塗ったパテだけが削れてしまいます。パテが一番
削れ易い材質だからです。

指で触ってへこんでいる部分にパテを乗せます。
画像のものは軽量パテです。
グラインダーは楽でいいのですが、思わぬ傷を付け
てくれたりもします。。

はみ出した余分なFRPやバリを、ディスクグラインダー
で削り飛ばします。
(削らないとケバ立っていて扱いにくいため)
その後、120番の耐水ペーパーで表面のワックスや
細かいバリを削っていきます。
あらかた削ったら、馬毛ブラシと水で洗い流します。

緊張の表面離型です。
型側による細かい傷はありましたが、特に問題ない
ようです。それにしてもゲルコートは必需品です。
一度だけゲルコート無しで複製を取りましたが、型の
汚れから細かい傷、空気まですべて移しとってくれ
ました。。修正が大変でした。

翌日、離型です。
この型はあいにくと知識不足で、型上下の固定は
ガムテープです。樹脂でネチョネチョになったテープを
剥し、マイナスドライバーで慎重に離型していきます。
画像は下側の型が剥がれた所です。

塗り終えた全体像です。
じゃっかん半ツヤのような気もしますが・・・
落ち着けばツヤ消しになるでしょう。
リップスポイラー完成です。

3プライ、角部には4〜5プライ貼り終えた所です。
このまま一晩放置します。

平面も綺麗に塗装できました。
やっぱり細かい傷がありますね。。

型から抜けたスポイラーの全貌です。
製品として販売する事は前提としていないので、
ここからの修正作業も結構な手間です。
使用したアイテム
FRP:成形一般積層用ポリエステル樹脂(インパラ) 4kg (3675円)
ガラスマット:巾1.04m/3m (1380円)
ゲルコート:ブラック/500g (1800円)
塗料:ホルツ艶消し黒×2缶 (1029円×2)
 
...

恐らく市販はされていない幻の?リップスポイラーです。塗装していますが、中身はカーボンケブラー
製です。表面だけにカーボンクロスを貼ったものではなく、積層からすべてカーボンで、大きな釜で
焼かれた、硬くて強くて軽い、レース用の一品です。

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この型は12年程前に製作しました。今までに5本抜いていますが、まだヨレたりはしていません。

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ゲルコートもFRP樹脂と同じ硬化剤を調合してつくります。

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切断したガラスマットをすぐ取れる位置に配置します。

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カドの部分には、柔らかくほぐしたガラスマットを置いて、刷毛で押し付けて貼り付けます。
角部専用のガラス繊維で「ロービング」というものが在るようですが、使ったことはありません。

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雌型が6プライあり、中のスポイラーが4プライあるので、かなり重いです。。

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こちらは下面なので失敗していてもいい・・・くらいの軽い覚悟です。
爪で各部叩いてみましたが、大きなス(空気層)は無いようです。

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黒のゲルコートはいいですねぇ・・・サフェーサー要らずです。

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型の分割部分に3mm厚の見事な"バリ"があります。。

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グラインダーで切断したエッジ部分もペーパーをかけておきます。

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このパテ作業を1回で終わらせようと大目に盛ると、中に空気が入って大抵失敗します。
ヘコんでいる部分にこすり付けるように塗っていきます。

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多少細かい傷等残っているようにも見えますが、目の錯覚ということで次の工程に進みます。

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探せばあるものなんですね。ホルツさまさまでした。
お店に残っていた2缶買いました。

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とにかくカドから塗装します。カド2回平面1回を3度繰り返して1本使いきりました。

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2本目は平面にまんべんなく垂れるか垂れないかの際で塗装します。

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ちょっと半ツヤに見えますが、シンナーが抜けきればツヤ消しになるでしょう。

全工程で10時間です。個人でやるには商売にはならない事がお分かり頂けますでしょうか?
完成したリップスポイラーを早速取り付けたい所ですが、実はFバンパーの改造も思案中で、リップはこの
まま保留となります。今現在も自宅の廊下で邪魔者扱いされています。
本来はここでオリジナルリップスポイラーの製作記を書きたかったのですが、写真を全く撮っていなかった
ため、この複製作業記事となりました。
 検索でこちらのページにお越しになられた方へ
 このページは、「Refined MR2」のコンテンツの一部です。
 本来のトップページはコチラ→Refined MR2になります。
このリップスポイラーは、MR2でワンメイクレースに
参戦していた「MYZ」さんより譲って頂いた物です。
カーボン製で軽くて丈夫だったのですが、リップ
スポイラーという性質上、地面との擦れや割れが
ひどく、そのたびに補修していました。
ある時、真ん中から真っ二つに割れてしまい、補修
では直りそうにもなくなった為(FRPで補修しても釜
で焼かれたカーボンとは馴染みが悪く、同じ所から
割れてしまう)このスポイラーをベースにオリジナル
の物を製作しました。また、壊れ易いため、複製が
作れるよう、雌型も製作しました。
本ページは複製を製作する内容です。

型に離型用としてワックスを塗ります。
その次にゲルコートを塗りこみます。
今回は初めてブラックゲルコートを使ってみました。
ここではガラス繊維の積層はないので、1回目に
塗ったゲルコートが乾いてから、さらにもう1回塗り
こみました。画像は2回目が塗り終わった所です。

ゲルコートが乾くのを待つ間、ガラスマットを切断して
おきます。貼る場所の大きさに合わせて、同じものを
3枚切断しておきます。
これは、FRP樹脂を調合してから切断していては
FRPの硬化が早くて間に合わないためです。
こういう小さくて凹凸の多いエアロは、細切れの
ガラスマットを前もって切断しておく事をお勧めします。