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Refined MR2 -アタッシュケースPC-
自作アタッシュケースパソコン 解説。アタッシュケース自作PC、自作にこだわったサイトです。
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アタッシュケースPC
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私の本業は機械設計です。英語で言う所の「Machine designer」(英語だとカッコエエ・・・)
仕事柄、3次元CADを使う頻度も増えてきました。
取引先で打合せをしながら図面を引くこともあるのですが、困った事に取引先のパソコンが古くて3DCADがまともに動かない場面が多々あります。ひどい時は丸1日仕事をしてその内半分は砂時計(処理待ち)なんてコトも・・・
3DCADがストレス無く動くノートパソコンを購入するべきだと実感して調べてみたのですが・・・
「存在していない」事が判明しました。
いえ、在るには在るんです。グラフィックカードを増設できたり画面が大きかったりといった3DCAD向けのハイスペックノートパソコン。DELLやショップブランドPCから発売されていました。
が、価格が凄い・・・40万〜50万円です。。
それだけ高いのに私の希望するスペックの半分も満たせていない・・・
ということは・・・「存在していない」のと等しいんです。
無い物ねだりをしても仕方がないので「持ち運べるデスクトップPCを作るか・・・」という妄想から始まり、調べていくにしたがって「アタッシュケースPC」に行き着きました。
アタッシュケースPC製作にあたってこだわった点は3つ。
○
大画面(現状ノート最大が17インチ程度なのでそれ以上)
○
最強(モバイルのくせにデスクトップ並みの性能希望)
○
1台完結(ケーブルやマウスは別のバッグで運びますなんてのは論外。すべて内蔵!)
打倒!50万最強ノートPC!w
モバイルデスクトップパソコン、アタッシュケースPCの製作記です。
とりあえず、まず初めにアタッシュケース購入です。
外寸:横幅470mm,奥行355mm,高さ150mm
若干高さが高いですが「アタッシュケース」として持ち運ぶにはちょうど良い大きさです。
ホームセンターで3000円でした。
この蓋側内寸に合わせてディスプレイを選定します。
内寸:横幅440mm,奥行310mm,高さ50mm
。
液晶ディスプレイの組立キットもネットで見つけたの
ですが、インチ数の割には価格が高くて諦めました。
普通の液晶をバラして使えばいいという結論です。
行き着けのパソコン屋さんへコンベックスを持参して展示品の寸法を1台づつ測らせてもらいました。
ピッタリ合ったのがこのLG製ディスプレイです。
しかも中古品ということで格安で購入できました。
19インチワイドです
。
マザーボードは安定志向でASUSの
Mini-ITX
の「
P8H67-I
」です。
今回マザーには特にこだわりはありません。
Mini-ITX規格で最新のCore i7が使えればOKという判断です。
合わせてCPUも最新の
Core i7-2600
です。
最強を謳いながら中途半端な・・・とお思いかもしれませんが、8スレッドあれば動作周波数が少し多いくらいでは体感できんのです。偉い人にはそれがわからんのですw
メモリは永久保障のUMAX 8GBです。
16GB動作が確実であるという保障があれば増設予定です
。
電源も最小のものを選択。
Silver Stoneの「
SST-ST45SF
」です。
サイズはこれ以上小さい物は容量が少なかったので断念しました。最強クラスのグラフックボードを使用したいので最低でも450Wは必要です。当然省エネタイプです
。
最強クラスのグラフィックボード。
nVIDIA社の「
Quadro 4000
」です。
3DCADで使用する場合、選択し得る最高のボードです。メイン機で使用しているFXシリーズの後継で最新のボードになります。描画能力はメイン機より高性能になります・・・
購入した中古のLGの液晶ディスプレイを分解してアタッシュケースにはめ込んでみました。
ピッタリです。
しかし・・・LGディスプレイは分解するのに骨が折れました。。
日本製ならラクだったのですが・
・・
主要なパーツが揃ったので、アタッシュケースに配置してイメージを見ています。
アタッシュケースを閉じて持ち歩く時に、重いパーツ(電源、HDD)が下側に来るようにしました。
左側のペンケースはグラボの代わりです。
すべてのパーツが納まることが確認できたので、実際に近いイメージの3DCADで板金部品を設計します
。
完成イメージです。
サクっと完成してますが、ボタン選定や空気導入口、配線の引き回しもろもろを検討した上で3日かけて設計しています。
これを元に2Dで図面化します
。
図面化しました。全部で4枚です。
これを製作してくれる業者を探します。
以前仕事でお付き合いのあった業者さんに見積りを依頼して、おおよその金額(ベース金額)を割り出しました。
「個人 板金製作」で検索をかけて請け負って頂ける業者さん約20社に見積り依頼を出しました。
約半数からご解答を頂き、その中から一番安い業者さんへ発注しました
。
発注してから10日で届きました。
青いのは材料に貼ってある保護シートです。
右側が液晶やマザー等の受けになるベースです。
これは重量を軽くするためアルミ材にしてあります。
左側はオモテ面になる化粧板です。
ここもアルミ材にしたかったのですが、
ヘアライン
を入れたかったのでSUS材にしています。
このヘアライン板にさらに工夫を入れます
。
撮影が難しい。。
ちょっと分かりづらいと思いますが、車用のウレタンクリアを厚く吹いています。
ツヤのある表面から奥にヘアラインの模様が見えるという仕掛けをしてみました。実物は思惑通りに綺麗なパネルになりました
。
アタッシュケースに排気用ファンの穴を開けました。
開けてビックリ!アルミアタッシュケースと謳いながら実はアルミ板ではありませんでした。。
木の板に0.5mmくらいのアルミシールが貼ってあるだけでした。。外装はアルミで固いイメージですが、実際強度を保っているのは木です。。
安いワケです。。若干強度的に不安になってきました。
すべての部品が揃ったので組立開始です。
ディスプレイベースに液晶の基板を固定。
各スイッチ類も切り出してベースに固定してあります。
液晶本体もベースに固定。
正直、ここは強度的にアルミでは不十分だったと・・・
まあ販売する製品ではなく個人で使う物なのでそういうのもアリです
w
PCユニット部です。
配線のおかげでごちゃごちゃして見えますが、各パーツが過不足なく綺麗に納まっています。
やっかいなのは化粧パネルに付くスイッチや基板類のケーブルの処理です。上手く逃がしながら閉じなければならず、組立工程で不満が出るポイントですw
CPUファンはGELIDの「
Slim Silence i-plus
」です。
全高わずか28mmながらヒートパイプを備えた品です。
グラフィックボードはライザーカードにて装着しました。
HDDはマザーの下に隠れています。
これらがすべて高さ70mmの中に納まっています
。
その他、急遽改造を行ってまとめた部分もあります。
ディスプレイとPCの電源ケーブルは切断して短く加工しました。
電源スイッチやLED等の配線で久しぶりにハンダゴテ持ちましたw
そして、約1ヶ月かかり完成致しました
いかがですか?この機能美・・・完成美・・・
必要最低限の機能だけを詰め込んだ「アタッシュケースPC」
何にも干渉せずにちゃんと閉まります。そして何処にでも持ち運べます。
但し重量が12kgあります。。肩掛け必須です。
電源ボタンはドイツ製のお洒落な物をチョイス。真ん中の青い液晶はCPUとHDDの温度計です。
キーボード前面あたりに空気の取り入れ口が作ってありその下には導入用のファンも付けてエアフローもしっかり考えていますが、このような超密閉ケースでは温度管理が重要だと思い温度計を付けました。
(3DCADの重いデータを動かしても45度以上には上がりませんでしたが。。)
収納時には電源コードはこのようにディスプレイの
周りに巻きつけます。
キーボードはELECOMの「
TK-FCP004SV
」です。
薄さ14.4mmで私の設計値ギリギリの寸法でした。
もう少し薄いキーボードもありましたが、私がテンキー付きのフルキーじゃないと嫌なのでこれにしました。
キーボードは引っ張り出してケースの外でも使えます
。
マウスはこの部分に収納します。
ちゃんと蝶番で開くようになっています
。
冒頭に書いたアタッシュケースPC仕様の3点。
○
大画面
ノートPCよりも大幅に大きい19インチワイド。
○
最強
モバイルパソコンとして考えればデスクトップ並みの高性能。
○
1台完結
完全達成。その代わり電源だけは貸してくださいw
すべて達成することが出来ました。何事も目標を打ち立てて突き進む事が大事です。
完成してから間もないのですが、早速活用いたしました。
取引先で広げて仕事しました。皆さん興味津々でした。いやそうじゃなくて、仕事はとてもはかどりました。
最強を謳っているだけあって、重い3DCADのデータもサクサク動かせました。
作って良かったと思いました・・・
企業にパソコンを持ち込む事はこのご時勢では嫌がられます。完全拒否する企業すらあります。
ネットワークに繋げてウィルス注入やデータの持ち出し等、過去に不届きな事例があったからです。
私のアタッシュケースPCも企業によっては断られる事も考えられます。
予防策として、LANポートに簡単にケーブルを挿せないようパネルで覆っています。
データの受け入れ受け渡しはUSBメモリのみ。という企業向けの業務用PCにしてあります。
それなりの外観に仕上げたのもそういう理由からです。
それなりに諭吉さんも飛んでいきましたが・・・w
以上、「アタッシュケースPC製作」レポートでした。
▲2012,02,11