本文へスキップ

Refined MR2 -RG RX-78-2 Ver.Ka-

自作魂 1/144 RG RX-78-2 Ver.Kaガンダムの解説。

自作魂 1/144 RG RX-78-2 Ver.Kaガンダムの解説。

1/144 RG RX-78-2 ガンダム
      カトキハジメ バージョン

PC用サイトはこちら
以前レポートしたRGガンダムを、デザイナー・カトキハジメ バージョン いわゆる"Ver.Ka"に改造しました。
今回の更新は、その製作記となります。内容的には完全にモデラー気取りですw
まず最初に断っておきますが私は素人です。今回のようなセミスクラッチは初めての経験なので、間違った記述や製作法があればご指摘ください。

本製作にあたってこだわった点は2つ。
 ○ 内部骨格の「アドバンスドMSジョイント」の
    可動機構は殺さない。
 ○ 他機種からの流用(ミキシングビルド)はせず、
    すべてのパーツを自作する。

それでは早速、完成画像からお楽しみください。
イメージ01

いかがですか?"Ver.Ka"に見えますか?
"カトキ立ち"に挑戦してみましたが意外と難しいですね。
(本来の"カトキ立ち"は顔がカメラ目線のようです)

製作の参考にしたものは
1/100 MG GUNDAM Ver.Ka
GUNDAM WEAPONS MG RX-78-2 Ver.Ka編
その他、ネット等です。
特にGUNDAM WEAPONSの小松原博之プロの作例に多大な影響を受けて製作しています。


イメージ02

前回、RGを簡単フィニッシュで製作したときに思ったのが「これをVer.Kaで作りたい・・・」でした。
ジムやザクといったモビルスーツは1/144で"Ver.Ka"タイプが発売されていますが、RX-78-2の"Ver.Ka"は1/100のMGでしか発売されていません。
版権問題等の裏事情があるのかもしれませんが、RGでRX-78-2の"Ver.Ka"が発売されるのを待っていられなくなりました。

「じゃあ、改造して作っちゃおう」
で始めたのがキッカケです。


イメージ03

ネットで調べてみると、1/144 RX-78-2の"Ver.Ka"はほとんどの方がHGシリーズの各機体パーツのミキシングビルドによる作例が数多くありました。
が、RGは「アドバンスドMSジョイント」のおかげで構造が違いすぎるので、ミキシングビルドにしても相当の改造が必要でした。無理やり既製品に合わせて改造するより、好きに作れるスクラッチを選択しました。

そうして約1.5ヶ月で完成したのが、今回の作品です。


イメージ04

アドバンスドMSジョイントの可動機構もすべて活かした状態での改造です。つま先可動、ヒザアーマーのスライド、太ももアーマーのスライド、腕アーマーのスライドと、RGのギミックはすべて活きています。
つま先可動の為の作りこみと、ヒザアーマーのすり合わせが大変な部分でした。
また、ふくらはぎを太くしたことで、それに合わせて脚全体をひと回り太くしたのですが、ギミックだらけのMSジョイントは長さの延長ができなかったので、骨太な感じのガンダムとなりました

ノーマルRGガンダムとの比較をご覧ください。
イメージ05

背が縮んだ?スリッパに改造しても足の高さは変わっていません。頭部のメインカメラ上部を削りこんだのですが後部は同じ高さです・・・"Ver.Ka"がちょっと奥に居るために遠近感が出たのかもしれません。


イメージ06

細身で華奢なRGと違って、骨太なイカついガンダムになりましたね・・
頭部、胴体、腕、脚、バックパック、シールドすべてに手を入れてあるので変わるのも当たり前かもしれませんね。


それでは以下、製作記になります。
イメージ07

足-スリッパ部
スリッパのつま先はプラ板とパテによる新造です。元のつま先からMSジョイントへの接続部のみ流用しています。
スリッパ中央はつま先の流れに合わせて幅を拡げました。
スリッパ後方は中央に合わせて高さを調節。
足の甲は2つの純正パーツを合体させてパテ成形。
元々甲にあるブロックを切り出して位置移動させました。
ガードは幅を拡げてパテで形状修正しました。
ガードの基部は位置が高すぎるので切断して、左右反転させて低い位置で再接着しました。
アドバンスドMSジョイントは材質がポリプロピレンなので、瞬間接着剤でも接着できないので、芯材として0.7mmの真鍮線を入れてあります。それでも接着は不可ですが簡単には取れなくなりました。


イメージ08

脚部
"Ver.Ka"改造最大の泣き所のフクラハギです。
ここはポリエステルパテの盛り削りの繰り返しでカタチを出しました。左右でダクト位置が反転するので、ダクト取付部を作る前に複製を作り、左右のフクラハギを作りました。
ヒザガードも純正を利用して改造。ここは膝を曲げた時にスライドするので、フクラハギと干渉しない位置に合わせ込むのが苦労しました。
スネは0.5mmのプラ板を両端に挟んで幅増ししています。
太ももは細く感じたので、側面にもう片足の純正パーツの側面を切り取って貼り付けています。


イメージ09

胸部-胴体
"Ver.Ka"で一番特徴的な部分です。
鎖骨ダクトがあり、そこから平面的な胸装甲が伸びて胸ダクトに繋がるライン。ここはもう、気合で作りました。MSジョイントの可動を殺さないように外装パーツを切り貼りして、プラ板やポリパテ、アルテコ瞬着パテで納得いくまで作りこみました。
本当はもっと平面的にしたかったのですが、黄色いパーツと青い胸中間の合いを優先したため、サイドに向かってRが付いた形状となりました。ここは再度リベンジしたい部分です・・・
横幅は片側で1mm増しています。鎖骨ダクトは0.14mmのプラペーパーを貼り付けてあります。
黄色いパーツは、失われた青い外装部分を埋めて修正。
ハッチカバーも上面の傾斜ラインに合わせて成形。3分割から2分割に変更しました。
赤いパーツは若干量の修正です。

そして最終的にモールドを彫り込みました。
小松原博之プロの作例の真似をしています。
拡大鏡を覗きながら1mm幅の彫刻刀でコツコツ彫っていき、それらしく見えるようにしました。左側には伸ばしランナーを成形したものを差して、真鍮線を2本差し込んであります。


イメージ10

腰部
この部分も大改造でした・・・
前後の股パーツはプラ板で大きく延長して張り出させました。
バズーカのラッチ部分は純正パーツを移植。
フロントとリアアーマーは4mm延長して、裏側にプラペーパーでモールドを入れました。フロントは黄色いキャラメルの位置を移動して成形。
腰のブロックはMSジョイントとの取付部のみ流用して、外形はプラ板とポリパテで成形。バーニアはコトブキヤのマイナスモールドUを成形して作りました。(丸バーニアが品切れ。。)
フロントアーマーの取付ボールジョイントを切断して1.5mm短くして真鍮線を入れて接着しました。これでスキマが小さくなりました。


イメージ11

腕部
腕の見せ所w ここはやはり肩アーマーでしょう。
特徴的な肩アーマーも"Ver.Ka"の重要なポイントです。
純正パーツを利用しつつ、ほとんど新規造形となりました。
アーマーが分割して上下に開く機構にも挑戦してみました。
内側にプラ板で蝶番を作り、真鍮線を入れて俗に言う
「肩パカ」を再現しました。完成画像を見ればわかるかと思いますが、上下で合いが悪いです。。肩パカ機構に没頭している間に合わなくなってしまいました。。。

二の腕は太ももと同じく、片腕の外装を切断して貼り付けて幅を増しました。当然MSジョイントでの外装スライド機構も生きたままです。
腕はプラ板とアルテコで成形。シールドの取付位置が設定と違って、設定通りにしようか悩みましたが、MSジョイントと干渉しそうだったので泣く泣く諦めました。


イメージ12

頭部
ここがたぶん"Ver.Ka"を一番印象付ける部位だと思います。
頬アーマーを”ハの字”にするため、頬アーマーの裏側下部に0.5mmの細切れプラ板を接着して、後部パーツとの段差をヤスって修正。
頬アーマー前方ダクト・・・プラ板の蓄層やウェーブの小ダクトを弄ったりしましたが、どれをやってもうまくいかなかったので結局スジ彫りで再現しました。分かり辛いかもしれませんがラインがボソボソしてます。。
メインカメラ上部は前傾になるよう削りこみ、上部前方が少し欠けたのでプラ板で補修。内部のメインカメラは上下2つの長方形カメラ(脳内設定)に見えるようスジ彫りを入れて、HIQのメタリックシールグリーンをそれらしく貼り付け。
ひさしは2mmほど前方へ延長しました。
五角形のアンテナブロックは全面に0.3mmのプラ板を貼ってひと回り大きくしました。
アンテナは長いのが好みなので、アルテコで延長しました。
ツインカメラは、最初はグリーンシールを貼ってクリアパーツは塗装せず、光が当たると妖艶に輝くように見せたかったのですが、実際意図して光を当てない限り真っ暗で、一見でわかり辛かったため付属の金色シールをひと回り小さく切り出して貼り付けました。


イメージ13

ランドセル
マルイチモールドの向きを修正。上部に段差を付けて設定に近づけました。バーニア基部を作り、2種のフィンをプラ板で製作しました。ランドセルはRGのものも結構好きな形状なので、大きな改造はせずに使用しました。
ビームサーベルは純正をそのまま使用するか迷ったのですが「太いグリップがいい・・・」と頭の中で誰かが連呼するので作ってしまいました。1/100のものがそのまま使えそうでしたがφ4mmで少し太すぎたので、RGのランナーから捜索・・・ランナーCの青い部分に、探していたφ3.5mmを発見!
量が少ないので希少ですw 手持ちであったφ3mmのプラ棒に縦横のスジ彫りを入れてφ3.5と接着。純正のサーベルからMSジョイントとの基部と、てっぺん部分を移植。てっぺんにはお約束の真鍮線を仕込みました。


イメージ14

シールド
これは鬼の平面削りでした。。純正では緩やかなRが付いているのですが、"Ver.Ka"のシールドは直線!なんです。
どちらかを削り過ぎないよう慎重に、そして大胆に削り込んでいきました・・・が、左画像の削れていない所まで来て、厚みが限界になっていることが発覚。中央部はペラペラです。。
仕方がないので0.3mmのプラ板を貼りました。
廻りの白いパーツにもプラ板を貼り、独特の形状としました。
アイガード?のような物も作製しました。


イメージ15

武器
ビームライフル、ハイパーバズーカは、全体的に設定画に近付けた修正を行ってあります。
両者ともグリップの固定フックを埋め殺してアルテコでグリップらしく成形してみました。
バズーカにはレーダーとフック?が必要だったので複製しました。らしく見えるように製作しました。
ライフルは白いパーツを黒いパーツにあとで組み込めるように後ハメ加工しました。(黒いパーツの下部にフタを作ってしまったので。。)


イメージ16

小物部品
胸の中のダクトは奥まって見えなくなるのでエポキシパテで型を作り、ポリエステルパテで複製しました。それを胸ダクトの前側にオフセットさせて接着しました。が、結局フィンで見えなくなりました。。
胸ダクトはRGには元から無いので新規製作しました。1mmのプラ板の箱組みからの成形です。フィンは0.3mmの切り出しで、プラペーパーで味付けしてみました。
フクラハギの小バーニアの基部は、1.3mmプラ板を成形しました。
内側の縦長バーニアは、ウェーブの角バーニアを弄りました。
膝裏のパイプはかなり悩みました・・・MSジョイントの可動部があるのでそれと干渉しないパイプを探したけど見つからず、試行錯誤して手持ちであった網目状のパイプを真鍮線に通してネジって瞬着で固定・・・したところそれらしく見えたので採用w 真鍮線の基部をプラ板で上下に作りました。内側に切れ目を付けて真鍮線が簡単に入るようにしました。
肩アーマーのパイプはランナーからの成形です。


イメージ17

デカール制作
当然ですが、1/144用の"Ver.Ka"デカールはありません。
いや、正確にはXデカールシリーズにあったようですが入手できませんでした。
10数年前にデカール用に購入したアルプス技研のMD1500です。これでゼータプラスのデカールを印刷しました。
やっぱりシールドの真っ赤な部分に白抜きの文字は欲しいので、このプリンターしか選択肢は無いワケです。
(白色印刷が出来るのはこのタイプのプリンタしかありません)
給紙がおかしかったり途中で止まったりするので、カバー全開で叩きながら動かしてますw


イメージ18

仮組み
何度となく仮組みをしてバランスは見ていますが、ぶっちゃけここまで作り込んだ満足感のほうが大きく、良いも悪いも判断できていません。。親バカ状態です。。
このあたりが素人モデラーと玄人モデラーの違いでしょうか・・・
クリーム色のパーツはレジンで複製をとったものです。
左右対称なパーツは複製を取ることで時間短縮になります。


イメージ19

塗装
全パーツが完成したので塗装です。
鍋に水を入れ食器用洗剤を垂らして歯ブラシで全パーツを洗浄しました。(とりあえず油脂を取るにはこれが一番かと)
日向で丸1日換装させてから1200番のサフェーサー。
レジンパーツにはレジンプライマーを吹きました。
カラーレシピ
白:スーパーホワイト95%+ガルグレー5%
黄:イエロー50%+ホワイト50%+ピンク少量
青:コバルトブルー70%+ホワイト30%+クリアレッド少量
赤:モンザレッド80%+ホワイト15%+黄橙色5%
  +クリアオレンジ少量
関節、ランドセル:ジャーマングレー80%+ホワイト20%
武器:ネービーブルー80%+ホワイト20%


イメージ20

バーニア塗装
ランドセル用のバーニア2種。HIQのBSバーニア、ノーマルとショートです。今回の"Ver.Ka"製作当初からやりたいと思っていた「バーニアのチタン焼け表現」に挑戦しました。
金属部品なので、クリアのメタルプライマーを吹いてから塗装しました。エアブラシの径を極細、エア圧を最小に調整して
クリアブルー→クリアパープル→クリアオレンジの順で丁寧に吹きました。実はこれ、初挑戦で一発で塗装できた画像です。
嬉しくて何枚も撮りましたw
ネット情報では更にスモークを吹くといいらしいのですが、怖くて吹いていませんwこのままでも十分「チタン焼け」に見えます。


もうみなさんお腹いっぱいかもしれませんが、以下は詳細画像です。
イメージ21

胸部あっぷ


イメージ22

腰下あっぷ


イメージ23

背中あっぷ


イメージ24

フクラハギあっぷ


イメージ25

9月中旬あたりから作り始めました。
最初は確たる目的もなく「自分が納得できるVer.Kaを時間をかけてじっくりつくる」という軽めの気の長い動機でした。
胸部が出来上がった頃、よく行く模型屋さんから「模型コンテストに出品しません?」と言われ、瞬間で火が点きました。
「じっくり作る」から「出品するために作る」という感じになったことは否めません・・・

全塗装してガンプラを製作したのは実に10年振りくらいです。セミスクラッチに到っては初経験でした。
途中でも書いていますが「作り上げた感」に気持ちが支配されていて、作品の良し悪しを第三者の目で見れていません。
みなさんのご指摘等あれば真摯に受け入れて次回作への教訓とさせていただきます。
褒めのお言葉はいつでもOKです。褒められて伸びる子です。

いま現在このガンダムは私の手元にありません。月刊ホビージャパンを発行しているポストホビーにて10月30日のコンテスト審査を待ちつつ、同店のショーケースに展示されています。
審査結果が発表されましたらここでお知らせいたします。

▲2010,10,26


ポストホビーの模型コンテストの審査結果が出ました。私の作品は、残念ですが入賞ならず・・・でした。
「これだけ改造したんだから入賞するだろう」という思いがあったのですが、ポッと出の素人モデラーがそう簡単に賞を取れるほどこの世界は甘くはありませんでした。
具体的な指摘は無かったのですが、入賞作品を見てみると、「しっかりとした基本工作が出来ている」という事に尽きました。面の平坦さ、ブレのないしっかりとしたエッジ出し、ムラの無い均等な塗装面等、すべてひとつひとつが丁寧に工作されていました。私の作品は、基本工作そこそこに細かい改造だけでの勝負でした。全体として見ればまとまって見えるが、部位ごとのまとまりや、出品時に「表面処理が甘い」と自己申告したとおり実際に甘かったのです。

本コンテストは月刊ホビージャパンの編集部で審査されました。模型の隅から隅まで知り尽くしているプロ集団の目で審査されて落選したので、これ以上の結果はありません。今後の課題として精進していきたいと思います。
"GUNDAM Ver.Ka" これからも私の課題として作り続けていきます。ありがとうございました。

▲2010,10,30



Refined MR2 トップページへ